8月13日〜14日 大井川支流




 初めて渓泊りが実現したのは去年の9月、禁漁間近の事だった。一日中釣り三昧、焚き火、満天の星空、イワナの塩焼き、酒、何もかも満喫した・・・しかし何かが足りない!今日味わった感動を話す相手が居ないのだ。
 酔えば酔うほど寂しさが増し、まだ早い時間からテントに潜り込み、無理やり寝るしかなかったのだ。「いつか仲間と来て見たい!」中々寝つけぬシュラフの中でそう考えていたのを良く覚えている。

 ゴールデンウィークに川虫くんと計画した渓泊り釣行は、悪天、道路崩落、体調不良、色んな災難が重なってしまい、やむなく中止と成り「夏こそは・・・」と、二人で話していた。
 ここ2ヶ月釣りをして無かった事もあり、今回の釣行には相当の期待感が有り、それとは裏腹に「お盆休みで人がいっぱいじゃ釣れんだろうなー」と釣果的には半分諦め気味なのも本当だった。しかし出発前から川虫くんと「尺だよ、尺!」などと盛り上がって居たのも事実なのだ。どっちにしろ去年夢に描いた仲間との渓泊りが本日実現するのだ!本当はそれだけでも十分なんだけどね・・・・

 車止めにはすでに2台の車が有り分っては居たのだが少々落胆する。まだ薄暗いのでタバコをふかして居ると釣り人が車外へと出てきたので挨拶をして何処の沢に入るのか尋ねてみると、私達の目的の沢では無かったので安心した。
 その人は、もう一台の車の連中とも知り合いで、違う沢へ入っていると言う事だったので何だか嬉しく成って来た。「もしかして誰も入って無かったりして!」


 テン場までは2時間半程の予定だが、途中休憩がてら竿を出してみる事にした。
 先に川虫くんが釣り始めた。見ていると直ぐに釣れたようだ。私も早速釣り始めるとこれまた直ぐに釣れてしまった。25cmの中々良いイワナだった。
 2ヶ月以上釣れた感触を味わって無かったせいかチョット感激で、その後の歩きはザックの重さも感じないほど足取りも快調だった。

 テン場に着き、テントとブルーシートを張り、いよいよ釣り開始である。
 二人で交互に釣り上がって行くと、飽きない程度にイワナが釣れてくる。やはり私達より先にこの沢に入った人間は居ないようである。もしかしてホントに尺も釣れちゃうんじゃないかと期待が膨らんで来た。しかし大物が潜んで居そうな場所は次々に現れるが、釣れてくるのは25cm止まりなのだ。

 ふと気が付き時計を見ると2時をまわっていた。そう言えば、昼飯も食わずに釣りに夢中になっていたのだ。昼飯はまるちゃん直伝のオクララーメンにするつもりでいたので、川虫くんに聞いて見ると「まだ食べなくて良い」という。実は私も飯を食うよりも釣りをして居たかったので丁度イイ♪
 初めての釣り場なので、テン場まで引き返すのにどの位時間が掛かるか分らなかったので、4時頃までやったら引き返すと決めた。

 流れの脇に大岩が有り、イワナの隠れそうなエグレへと毛鉤を打ち込んで見たが、手前の流れにラインが飲みこまれて毛鉤が引っ張られてしまった。
 2・3回やって見ると良い具合に毛鉤が着水した。ラインは流れに浸かる事も無く、上手い具合に毛鉤がプカプカと浮いていた。その時水面が割れ反射的に合わせていた。今までに無い重量感!「これは良い型だ。もしかして・・・」

 川虫くんも気づいて此方に来ている。ハリスは太いので難なく取り込み、手をあてて見た。「尺有るかも!」川虫くんにメジャーで測ってもらうと28cmだった。「あれれ!?」
 私は普段メジャーは持ち歩かず、魚体のサイズは自分の手を使って測っている。尺の場合は“片手を広げた長さ(22cm)+中指の長さ(8cm)”なのだが、さっきは“片手+人差し指”で測ってしまったようだ。
 それでもこの型が釣れればやはりホクホク顔に成ってしまう。ますますやる気が出てきて「次行こ!ツギッ!!」ってな感じである。

 「魚居るよ!」川虫くんが言うので、そっと淵を覗いて見ると何匹か見えた。ライズもしているようだ。少しの間川虫くんが釣るのを見ていると、チョンチョンと誘う毛鉤にとうとうイワナが掛かった。
 私も竿を出して見ると、暫くしてやはりチョンチョン誘う毛鉤に飛びついてきた。この淵は釣堀のようにいくらでも釣れるんじゃないかと思えるほどであったが、すぐに飽きてしまいその場を後にした。

 ここの魚はスレて居ないようで、一度出て掛からなくても何度でも出てくれるのだ。毛鉤に掛かった感触が有りバラした時は流石にもう出ないと思ったが、次の瞬間その魚が毛鉤をくわえた時は流石にビックリした。

 テン場まで引き返す時間が見当付かず、4時半を過ぎた所で納竿とした。二人とも10匹以上釣れて大満足だった。
 前にも述べたが、この沢は初めてだったのでテン場にする場所が有るのか分からなくて、下流の方をテン場にしたのだが、釣り上がって見ると所々にそれらしき場所が有り、少々後悔した。今度来る時はもっと上流にテン場を作り、夕マズメもバッチリ釣りたいものである。

 引き返す途中雨がパラパラときて、少々心配したがその後は雨も降らずに快適な一夜を過ごす事が出来た。
 デカイ丸太のような流木を燃やし盛大な焚き火を楽しみ、酒を飲み、イワナの塩焼きを食い、釣りの話をしているとあっという間に夜がふけてしまう。
 今回初めてイワナ寿司を作ったが、シャリが失敗だった。コッヘルでびみょうな硬さの飯を炊くのは中々難しいようだ。次回までには研究しておかなければ・・・

 一日中十分過ぎるほど良く遊んだ二人は、二日目の朝は目覚めるのがずいぶん遅く、朝一のマズメ狙いの釣りと言う訳にはいかなかった。
 一日目に沢山釣って楽しんでいたせいも有り、不思議なくらい釣り欲が無かったような気もするのだが、とりあえずコーヒーを飲み昨日とは別の沢に入って見る事にした。
 この沢は落差の有る沢でそこら中に良いポイントが有るのだが、なぜか魚が釣れてこないばかりか姿すら見ることが出来ない。起きたのが遅く、暑く成ってきてしまい魚は岩陰に隠れてしまったのだろうか?
 二人はあっさりと諦めてこの沢を後にした。多分昨日の釣りが無かったら、特に川虫くんなんか目の色を変えて「ゼッテー釣れるまで帰んねー!」ってな感じだったのだろうと思ってしまった。

 テン場を撤収して後は帰るだけだが途中少しだけ竿を出してみた。しかし何人かの釣り人にも会ったが人が多く入っているようで全くダメだった。

 最後の楽しみは温泉!帰る途中民宿ふるさとさんに寄り、風呂と飯を頂いた。鹿肉は思っていたより臭みも無くすんごく美味かった。
 店の壁には50cmは有ろうかというアマゴの魚拓が有り、聞くとそのアマゴは若旦那さんの友人がテンカラで釣ったと言うのだ。「テンカラでこんなデカイのが釣れるのか!」と驚き、みょーに印象的だった。

 そして、夢にまで見た仲間との渓泊りの2日間はあっという間に終わってしまったのだ。


川虫くんの釣り日記




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