車止めに着くと車のライトに気付いたのかみっちゃんがテントから出てきて迎えてくれた。そのうちに吉田さんも起きてきた。バカなが隊は早めに車止めに到着して、テントを張って酒盛りしていたのだ。浅川さんとシンヤさんはすでに夢の中である。夜明けまでまだ時間があるのでビールを一杯飲んで仮眠する事にした。しかしいざ寝ようとしてもなんだか目が冴えてしまってかなわない。そこで焼酎をロックでグビリとやりはじめる。川虫くんも何杯か飲んで何時の間にか眠っていた。この焼酎が悪かった!
その場所には必ず大イワナが住むであろう。しかし、並大抵な事ではその場所へたどり着く事は出来ない。
そして、もしたどり着いたとしても数々の危険を掻い潜って生き延びてきた大イワナを
その手にする事が出来る者は、ごくごくわずかなのである。
えらばれし者とそうでない者≠烽ソろんオイラはそうでない者≠ナある。

朝目を覚ますと頭が痛い!やはり最後の焼酎が効いているようだ。何だかこのまま眠っていたく成ってしまうが、重たいまぶたをこすりつつ支度を済ませた。そしてザックを背負うとあまりの重たさにこの後の歩きが思いやられてしまう。しかし天場に着いてからの事を思えば、ビールを減らすわけにはいかないのだ。
出発してすぐに登山道の急登に苦しめられ、ザックの重たさと頭の痛さが追い討ちを掛けるようにオイラの足を遅らせ、ついて行くだけで必死である。

天場に到着し一休みしてから各自テントやブルーシートを張ったり、酒や食料を冷やしたりして夜の宴会に備えた。そして一通り準備が終るといよいよ釣りである。しかし今日の釣り場に予定している所はここから更に山を登った源流にある。空身に成ったとはいえ急登はやっぱり堪えるのだ。まあ、大イワナの住む領域に足を踏み入れるのだから、この位の事はしょうがないのだろう。

釣り場に着く頃にはお昼をまわっており、帰りの事を考えると釣りが出来るのは精精2時間位のものだろう。5人は早速餌釣りとテンカラで釣り上がる事にした。
皆中々釣れない中、今日はダメか!?と思っていると後ろの方で釣っていたみっちゃんに待望のアタリがあった。釣れたのは塩焼きサイズではあるが、初めての釣果にチョット安心した。

倒木があり、水深に流速と申し分の無い流れが現れた。絶対に居そうであるが、上からは木の枝が張り出し、流れの中には倒木が、、、テンカラを振るのには非常に厳しい状況なのだが、何とか流れに毛鉤を乗せる事が出来た。出ろ出ろっと念じていると、毛鉤が倒木に引っ掛かる寸前でついに来た!塩焼きサイズだが嬉しい1尾だった。
引っ掛けた毛鉤を交換して、ふと上流のポイントへ目をやると、浅川さんが何やらやけに大げさなジェスチャーをしている。一瞬ふざけているのかと思ったが、どうやら様子が違うようだ。大物を掛けたのか?急いで駆け寄ると、そこには今まで見た事も無いようなでっかいヤマトイワナの姿が!写真では見た事が有ったが実際に見るとその迫力はすさまじい。興奮しているのが自分で良く分かった。自分で釣ったのでは無いがこんなヤマトイワナが見れただけでも嬉しく成ってしまった。この一匹で俄然やる気が出て来た。アプローチに気を付けガンガン毛鉤を打って行く。そして巻き返しポイントで塩焼きサイズを追加した。
毛鉤に見きりを付け、ぶどう虫で釣っていた川虫くんにも大きいのが来たようだ。浅川さん以上のジェスチャーで遠目にも嬉しそうな顔が良く分かった。すでに取り込みに成功しているようだ。みっちゃんに知らせ駆け寄ると大イワナを誇らしげに抱えている川虫くんの姿がそこには有った。益々やる気が沸いてくるが、毛鉤を引っ掛けてしまいやる気は空回りである。

釣り堀<|イントでシンヤさんが粘っている。テンカラでは無理そうなので上流へ回り込み浅いポイントへ毛鉤を打って跳ね上げる瞬間、水中で何かが動いた気がした。確かでは無いが魚が毛鉤を追った感じがした。何度か振りこんで見るとついに出た!大きい!竿がしなる、、、次の瞬間、仕掛は中を舞っていた。1.5号のハリスが切られてしまった。何て言うと、どれだけでかかったのかと思ってしまうが、ただたんに枝に引っ掛けたりしたラインが傷んでいたのだろう。それでも大物の手応えが有った事は確かなのだ。

しばらくすると浅川さんが迎えに来た。もう引き返す時間に成ってしまったようだ。夢のような一時はあっという間に過ぎてしまうものだ。それでもあの大イワナを2匹も見る事が出来たのだからホントに良かった。やはりあの大イワナを手にする事が出来るのはえらばれし者≠セけなのだから・・・

夜の宴会≠アの時だけは、苦労して重い荷物を背負って来て良かったと本気で思える瞬間である。
「この味どう?」「チョットしょっぱいけど、うま〜い」
「これは?」「変な味、、、だけど美味〜い」
ってな感じで、何を食っても美味いのだ。
暗くなる前から始まった宴会は気付くと0時をまわっていた。良く飲み良く食い満腹状態で寝床につき、あっという間に深い眠りに付いた。

明け方は寒さで目が覚めてしまった。ブルーシートの下薄いシュラフだけではチョット無理だったのか、とにかく焚き火をおこし、暖かい物を腹に入れやっとの思いで寒さから開放された。

そのうちに皆が起きてきて、早速朝飯の準備である。朝からヘビーなメニューが並ぶが、帰りの荷を軽くしたいので食い物が、出来るは出来るは、食うは食うはで大変である。
一息ついてから近くに竿を出しに行ってみる事にしたが、風が強くなり直ぐに諦め天場でマッタリする事にした。

帰りはザックが軽くなった事も有り、足取り軽くあっという間に車止めまで着いてしまった。ゴールデンウィークは3年連続で雨だったので、この2日間天気が良かった事は何よりだった。それにもまして、あの大イワナを実際に見る事が出来たのは本当に嬉しい限りである。
バカなが隊の釣行記  川虫くんの釣行記























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